名古屋のアイドルグループ「OS☆U」(オーエスユー)から派生し、”オーケストラ × Loud Rock”をテーマに活動する2人組ユニット、創世記少女 -Genesis Girl-(ジェネシスガール)。楽曲「Look alive!!」でブラームスの交響曲第4番を引用しています。
ご当地アイドルのしかも派生ユニットでブラームスです。誤解を恐れず言えば、正気の沙汰じゃありません。どうかしてる(誉め言葉)。
2019年リリース。
変拍子や大きく曲調を変化させるプログレのような展開をみせる部分もありますが、サビは長調に転調し大きくスケールを広げる王道メロスピスタイル。
日本ファルコムのゲーム音楽のようなシンセオーケストラ&ガチのギターサウンドも合わさり、大袈裟すぎるくらい大袈裟に仕上げています。楽曲の長さも6分半。
原曲はこちら。交響曲第4番は、ブラームスの作品の中でも有名な楽曲の一つです。その第1楽章。冒頭の第1主題をイントロで引用。
「Look alive!!」は中盤で大きく曲調を変化させ、楽劇風になるコミカルなパートがありますが、そこのバックで流れるシンセオーケストラも同じく交響曲第4番第1楽章からの引用です。上記動画の1:40~の部分。その後、爆走パートに入ってもそのままブラームスのオケを引っ張る所が超カッコいい。
ブラームスは時代的にはロマン派の作曲家にあたりますが、彼の作風は古典主義やバロックに近いものがあったと言われています。
シンプルなシンセストリングスで編曲された創世記少女の「Look alive!!」のイントロを聴くと、それがよく解ります。音程を下げながらシンプルな動機を繰り返す冒頭の主題は、まるでバロック音楽みたい。
ブラームスの時代はメンデルスゾーン等によりバッハの音楽が高く再評価された時代でもあり、この主題もバッハの宗教音楽的のような、厳かな雰囲気を帯びています。
交響曲第4番は第3楽章もド派手でキャッチ―です。ファンファーレのように管弦楽器が鳴り響きます。
個人的に好きなのは、ひたすら短調の第4楽章。バッハのカンタータ150番の低音部のメロディを主題に引用している事で有名な楽章です。
シャコンヌ(パッサカリア)形式と言い、そのバッハのメロディをベースラインでひたすらループさせながら展開していく形式の曲となっています。
また、クライマックスで第1楽章の第1主題(初めの方で紹介した、「Look alive!!」で使用された三度下降の動機)が形を変えて再登場します。上記動画の10:43~の辺り。
全40分と長大な交響曲第4番ですが、一つ一つのフレーズを見ればとても美しくキャッチ―である事が、創世記少女の「Look alive!!」を聴いても実感できます。
これをきっかけにブラームスを聞いてみてはいかがでしょうか。
この創世記少女 -Genesis Girl-、こちらの楽曲「偶像連鎖~アイドルレンサ~」ではイントロにバッハの小フーガト短調を使用しています。こちらは短調のまま爆走する曲。カッコいいです。
また「フィーバー!!」のイントロは、ブルグミュラーの「25の練習曲 第2番 アラベスク」です。小学生の頃にみんな聞いたことがある、あのメロディ。
さくら学院から派生し、その後ブレイクしたBABYMETALを彷彿とさせる創世記少女 -Genesis Girl-ですが、BABYMETALよりもシンフォニックでスピード感もあり、曲のスケールも大きい。
今後に期待大のアーティストです。