高校の音楽コンクールを舞台にした恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ』。そのTVアニメ版の主題歌「WINGS TO FLY」で、ヴィヴァルディの協奏曲集《四季》の中の一曲、「冬 第一楽章」を引用しています。
2014年リリース。アニメの登場キャラクター達による歌唱。作編曲はジャニーズやAKBグループなどアイドルの楽曲を多く手掛ける島崎貴光。
イントロで「冬」の有名なフレーズを使用しています。下記動画の1:10~。『金色のコルダ』の主人公は、妖精のサポートでバイオリンが弾ける特殊な存在であり、引用した「冬」も弦楽器が主役のドラマティックな楽曲です。
しかし「WINGS TO FLY」では、原曲を多少アレンジしています。その違いを楽譜に起こしてみました(和音を単音にしていたり正確な譜面ではないですがご容赦ください)。
上の段が「冬」。下の段が「WING TO FLY」です。
まず原曲の「冬」はヘ短調ですが、「WINGS TO FLY」は半音下がりホ短調になっています。
キーの低い男性声に合わせたとも考えられますが、原曲よりも半音下げる事で高揚感を抑え、勇ましさや男らしさ、まだピークに達しない途上感などを強調しています。”男性ヴォーカルによるアニメのOPテーマのイントロ”にピッタリです。
また原曲と比べて、小節の頭の音譜が半拍だけ手前にズレています(シンコペーション)。印象的なフレーズをフライング前のめりでスタートさせることで、曲に勢いやスピード感を付けています。また単調だった原曲よりもリズムに変化が生まれる事で、ノリが良くなりました。これもアニメのOPテーマらしさに繋がっています。
ドラムも、イントロの前後は4ビートですが、イントロの部分は裏を強調した2ビートになり、更にシンコペーションを活かした「冬」のフレーズのリズムに合わせて叩いているため、イントロのノリの良さや疾走感を更に強調させています。
ちょっとした変化ですが、とても効果的にアレンジされています。結果的に超カッコいいイントロに仕上がっています。
「冬」のフレーズを演奏するシンセストリングスの和音は、ちょうどトランスのシンセリフのようにも聞こえ、ダンスミュージックの要素もあるこの楽曲と良く調和しています。
『金色のコルダ』シリーズは、作中でクラシック曲が使用されたり、キャラクターソングでもストリングスが多く使用されたりしています。
個人的におススメの一曲は『金色のコルダ4』のキャラソン「Fatalität」。ガチのシンフォニックメタルです。
下記動画はインストバージョン。
もう一曲はPS Vitaゲーム『金色のコルダ オクターヴ』テーマソング「SONGS」。ドラマティックな管弦楽アレンジ。
こちらの楽曲も、同じ「冬」のフレーズを効果的にアレンジした楽曲です。ぜひ合わせてお聴きください。