今回紹介するのは、アイドルとクラシックを融合させたグループ、アイドルオーケストラRY’s(リィーズ)のデビュー・ミニアルバム「アイオケ♪」。
2016年リリース。全曲視聴はこちらから。
曲目
◎青色は特に気に入った曲。
01.アイオケ♪(バッハ「G線上のアリア」)
02.フランボワーズ(パッヘルベル「カノン」&ヴィヴァルディ「春」&ベートーヴェン「歓喜の歌」)
03.トライ&GO!(ベートーヴェン「悲愴」)
04.始まりの日曜日(ムソルグスキー「展覧会の絵」より『プロムナード』)
05.アイオケ♪(カラオケ)
06.Innocense(オリジナル曲)
01.アイオケ♪(バッハ「G線上のアリア」)
バイオリンが原曲のメロディを奏で、マーチング風のスネアとチャイム…に何故か野太いダンスビートが重なるイントロから始まるドラマティックな曲。雰囲気を大胆に変えるエモーショナルなメロディのBメロ・サビの後で一旦仕切り直す展開・ユニゾンの歌声の雰囲気等は初期のももいろクローバー的。
一方ストレートなサビメロなんかはベタなアイドルソングとアニメソングを折衷している感じ。
間奏の不穏なピアノと緊張感のあるバイオリンから、美しいピアノソロを経てラストサビへ繋がる流れはかなりドラマティック。
イントロ・1番後の間奏・2番後の間奏・アウトロそれぞれ違ったパターンになっている、ロンド風の曲展開。
曲全体を通して、クラシカルというよりはエモーショナルでドラマティックな雰囲気が出ており、これもうG線上のアリアなんて必要無かったんじゃ…という印象の曲。アイドルソングのデビュー曲としては申し分ない出来。
冒頭のG線上のアリアのフレーズで「またこんなのが出てきた…」と諦めずに、最後まで聴いてみましょう。有象無象のカバーとは違うぞ。
02.フランボワーズ(パッヘルベル「カノン」&ヴィヴァルディ「春」&ベートーヴェン「歓喜の歌」
イントロ及びサビの冒頭のメロディ、そしてアウトロが「カノン」。イントロ・間奏・アウトロのヴァイオリンが「春」。2番の後の間奏が「歓喜の歌」。ベタなアイドルソングにバイオリンが程よいアクセントになっている。淡い青春恋愛ソングに「春」の雰囲気がとても合っている。
03.トライ&GO!(ベートーヴェン「悲愴」)
マーチング風スネアに「悲愴」の歌メロを合わせた出だしから始まる、高速打ち込みポップに不相応なクラシカル・バイオリンが乗っかる不思議な曲。
「悲愴」をポップスカバーした曲はたくさんあるけれど、原曲の譜割りを大きくアレンジしているサビは、多くの「悲愴」カバーの中でも良い出来。原曲のポジティブな雰囲気に、疾走感と、どことない儚さも加わり独自の世界観を作り出している。
04.始まりの日曜日(ムソルグスキー「展覧会の絵」より『プロムナード』)
管楽器とバイオリンとダンスビートで派手に展覧会の絵を再現するイントロから始まる曲。曲自体は切なさとポジティブさと”始まり感”を兼ね備えた、ザ・アルバムラストのポジティブ曲、といった感じ。
06.Innocense(オリジナル曲)
ピアノ・ヴァイオリンと打ち込みリズムによるインスト。イマージュに収録されていそうな雰囲気だけど、アイドルらしい素朴さがあって良い感じ。
総評
アルバム全体を通してエモーショナルでアップテンポなザ・平成アイドルソングな曲調に、やや場違い感のあるクラシカルなバイオリンが乗っかるというスタイル。
ももいろクローバー辺りから、「アイドルなのに○○」みたいな大喜利のようなコンセプトを携えたアイドルグループのデビューが相次ぎ、ぶっとんだ特色が無いと目立てない時代になってしまいました。
そんな流れから生まれたと思われる「アイドルオーケストラRY’s」。コンセプト倒れではない力の入った曲揃いです。
クラシックの選曲はベタofベタですが、それぞれの曲に工夫が感じられる上、肝心の曲がそれなりの出来なのであまり気になりませんでした。
一言で言い表すと、「もし1stアルバムの頃の初期ももクロがクラシックに手を出していたら…」という感じのアルバム。
メンバーチェンジなどを経て6年後にリリースされた、1stフルアルバムのレビューはこちら。
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