プロコフィエフ

カンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》より「氷上の戦い」/Nach Scratch「Rimas Invencibles」

スペインのラッパー、Nach(ナッハ)の楽曲、「Rimas Invencibles」は、プロコフィエフの楽曲、カンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》の中の一曲、「氷上の戦い」をサンプリングした楽曲となっています。


2000年リリースのアルバム『En La Brevedad De Dias』収録。当時は”Nach Scratch”名義。かなり哀愁の強いトラックが並びます。弦楽器をメインに使用したトラックも多く日本人の感性に合いそうな、おススメの一枚。スペイン語のラップも良い感じです。

 

こちらは、クラシカルなストリングス&ピアノに、ミサ曲のような合唱をサンプリングした、同アルバム収録の一曲。

 

 

 

原曲のカンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》は、ソ連の映画『アレクサンドル・ネフスキー』のために作曲された楽曲群を、演奏会用にカンタータとして作り直したものです。全7曲、40分程度。

「氷上の戦い」は、そんなカンタータ《アレクサンドル・ネフスキー》の第5曲にあたり、《アレクサンドル・ネフスキー》の中で最も演奏時間が長く、盛り上がるパートとなります。

 

是非、キャッチーで勇ましい第4曲「起て、ロシアの人々よ」(12:50~)から第5曲「氷上の戦い」(15:10~28:20)、そしてラストの「アレクサンドルのプスコフ入城」(35:20~)を聴いてみましょう。派手だけれど不思議な雰囲気で掴み所のない、プロコフィエフ(ロシア音楽)の本領発揮な楽曲です。

ちなみにサンプリングされている部分は19:25~の部分。「起て、ロシアの人々よ」の合唱パートにも同様の旋律が登場します。13:07~の部分。

クラシックのサンプリング曲を集めていると、「そんなに有名ではない上に長大な楽曲の中から、よくぞまあこんな部分を抽出してキャッチーに仕上げるものだ」と感心するサンプリングがあります。このNach Scratchの「Rimas Invencibles」も、さすがの出来です。

 

 

映画『アレクサンドル・ネフスキー』は1938年に公開された映画で、13世紀のロシアが神聖ローマ帝国のドイツ騎士団を打ち破るというシナリオのようですが、公開当時は第2次世界大戦の直前で、この語まもなくドイツとソ連の激しい戦争が幕開けとなります。

“ロシアがドイツをやっつける”という筋書きの『アレクサンドル・ネフスキー』は、そんな当時の政治的関係を反映した作品となっています。ロシア音楽には良くある事です。

ソ連対ドイツの戦いとロシアン・クラシックの関連については、こちらの記事でも解説しています。合わせてお読みください。

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プロコフィエフは他にも《キージェ中尉》《イワン雷帝》など、映画音楽を手掛けた後に演奏会用にアレンジし直した作品があります。

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syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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