“Neo Dramatic Cyber Hard”を謳う日本のハードロックバンド、Vrain(ブレイン)。
「MOMSTER」という楽曲で、モーツァルトの《レクイエム》の中の一曲、「怒りの日」を大々的に取り入れています。
こちらで試聴可能です。7曲目。1:10~。
ちなみに、3曲目の「LUNA99」ではベートーヴェンの『月光』、4曲目ではショパンの『英雄ポロネーズ』が間奏で登場し、6曲目のインスト「HEAVEN AND HELL」はオッフェンバックの『天国と地獄』のカバー。クラシック要素が満載の作品です。
個人的にとても気に入っているのが、ちょっとインプロビゼーション風のバンドサウンドが超かっこいい、ネオクラ×プログレ×90年代J-POP×昭和歌謡な5曲目「YOUR RED EYES」。こんな曲聴いた事無い!超名曲です。イントロはヴィヴァルディ風。
2020年リリースのアルバム『Lord Of The Lighthouse』収録。
「サイバーパンク」「スペースシンフォニー」がキーワードと公式サイトに書いてありますが、その音世界はとても独特。普通のシンフォニックメタルとはちょっと違い、デジタルサウンドのウエイトが高いです。
シンセの音色もストリングスを模したものに加えて、ダンスミュージックに使用されるような音色が数多く登場します。あえてダサくしているような、チープで派手なシーケンスはかなり存在感あり。プログレッシブ・ロック的アプローチも垣間見えます。
クワイアもシンフォニックメタル風というよりは、どことなくTMNやTHE ALFEEのような雰囲気。
例えるなら、ネオクラシカル・メタル化したDASEIN、もしくは女性ヴォーカルにした高見沢俊彦ソロのような…。
デビュー時よりもサウンドが洗練されてきたのもあり、他に類を見ない、なかなか貴重な作風です。
この作風、何に例えるのが一番適切なんだろう…としばらく考えましたが、一番近い気がするのは、小室哲哉×YOSHIKIのユニット”V2″。
YOSHIKIがglobeに加入した際は全く活動しないまま終了してしまったコラボでしたが、もしかするとこれがglobe EXTREMEの未来だったのでは…と淡い夢を見せてくれるような、そんなサウンドのVrain。
そんなVrainの曲の中でも「MONSTER」は、”怒りの日(Dies Irae)”のメロディを大々的に使用した、特にネオクラシカルロック/スピードメタルの要素が強い曲。メタラーも満足の一曲です。
間奏からQueenのようなコーラスパートを経て、なだれ込むようにサビに突入する後半がクライマックスです。カッコいい。
モーツァルトの原曲はこちら。数多くカバーされている、もはや説明不要の一曲。