ベルリオーズ

《幻想交響曲》より「魔女の夜宴の夢」/Juelz Santana「The Second Coming」

アメリカのHIPHOPアーティストのJuelz Santana(ジュエルズ・サンタナ)
「The Second Coming」という楽曲で、ベルリオーズ
《幻想交響曲》の中の一曲、「魔女の夜宴の夢」をサンプリングしています。

クラシック・スニーカーであるNIKE AIR FORCE 1 の発売25周年を記念して製作された、CM用の楽曲との事です。

そのためシングルのみのリリースとなっており現在入手困難ですが、SoundCloudで聴くことができます。2007年発表の楽曲。

 

トラックメイクはJust Blaze。カニエ・ウエストと共に、超有名なHIPHOPアルバム・Jay Z『BluePrint』のメインコンポーザーとして有名になりました。抒情的でメロウなトラックをつくります。KREVAのエモい曲はこの人っぽい。



 

 

引用しているのは全部で5楽章から成る《幻想交響曲》のクライマックスである、第5楽章「魔女の夜宴の夢(ワルプルギスの夜の夢)」の一節。こちらの動画の3:20~の部分。鐘の音が印象的です。

 

この部分は、グレゴリオ聖歌の「怒りの日(ディエス・イレ)」のメロディが使用されています。

リストの《死の舞踏》など、様々なクラシックで引用されているメロディです。

死の舞踏/LIV MOON「死の舞踏~ディエス イレ~」日本のシンフォニックメタルバンドLIV MOON(リブムーン)。「死の舞踏~ディエス イレ~」という楽曲で、リストの「死の舞踏」を引用し...

 

Juelz Santanaの「The Second Coming」では、リズミカルなビートの中で明らかに鐘のリズムだけがズレており、神々しさや超然とした様を演出しています。

これがもしピッタリのタイミングで鳴らされていたら、きっと力強いトラックと相まってプロレスのゴングのように聞こえていたでしょう。サンプリングの過程で偶然生まれたリズムのズレなのか意図的なものなのかは分かりませんが、いずれにせよとても効果的で印象的な仕上がりです。

 

幻想交響曲のススメ

設定やタイトルが想像を掻き立てる上に、超有名曲でもある《幻想交響曲》ですが、いざ聴いてみると意外と掴みどころがなく、更に約1時間と長大なため、かなりハードル高めの楽曲です。

1930年発表の《幻想交響曲》は初期ロマン派に位置付けられ、変な旋律・唐突な曲調の変化も多く、一見じっくりメロディを聴かせる気がなく迫力と音の響き・雰囲気重視という感じです(ディスってませんよ!)。

とはいえ、作中のヒロインを象徴するメロディが曲中に何度も登場したり、作品のストーリーもしっかりと設定されているなど、作品とちゃんと理解しじっくり向き合う事で深く楽しめる、とても面白い作品です。メロディや音の一つ一つを聴いても、とても魅力的でもあります。

ちなみにヒロインの動機(固定楽想)は、「魔女の夜宴の夢」では1:45~辺りに登場します。前の楽章では優雅で美しかったヒロインのメロディが、軽薄な姿に変わり果てて登場するシーン。

 

そして固定楽想を語る上で外せないのが、やはり第4楽章「断頭台への行進」。ヒロインを殺してしまった主人公が死刑にされるシーン。最期に恋人との思い出を想起するかのようにヒロインの動機(4:08~)が流れますが、それを断ち切るように無情にもギロチンが落ちます(4:16~)。

 

そんな味わい深い《幻想交響曲》の入り口として、キャッチ―な「The Second Coming」&「魔女の夜宴の夢」から初めてみてはいかがでしょうか。

 

ヒロインの固定楽想をサンプリングした楽曲もあればいいのに…。

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syro
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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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