アメリカのヒップホップデュオ、OUTKAST(アウトキャスト)。「Ms.Jaskson」という楽曲で、ワーグナーの歌劇《ローエングリン》の一曲、「婚礼の合唱」をサンプリングしています。
グラミー賞で「ベストラップパフォーマンス賞」を受賞した曲でもあります。
歌詞は、歌い手のアンドレ3000が交際相手と破局した後、交際相手の母親に謝罪する内容となっており、一時は本気で結婚を考えていた元恋人との関係を振り返る内容となっています。
そんな「当時はこの愛がずっと続くと思っていた」「二人の間に子どももできたのに、今や家族は分断されてしまった」という感傷を、「婚礼の合唱」のメロディが崩壊していくようなサンプリングを用いる事で表現しています。
規則正しい「婚礼の合唱」のピアノフレーズとは対照的なリズムのスラップベースが良いアクセントとなってます。クールでファンキーなスラップベースは、”大人になってから若い頃の恋愛を思い出す”というシチュエーションを上手く表現しています。
2000年リリースのアルバム『Stankonia』収録。
こちらは同アルバム収録の「B.O.B」。ブレイクビーツを超POPに仕上げた名曲。
OUTKASTと言えば、メンバーそれぞれのソロアルバムをパッケージしたスプリット・アルバム『Speakerboxxx/The Love Below』が大ヒットし、グラミー賞も受賞しました。
私の一番のお気に入りの曲は、『The Love Below』収録の「My Favorite Things」。
映画《サウンド・オブ・ミュージック》の有名曲をドラムンベースアレンジしたインストカバー曲。メランコリックなメロディとオシャレなジャズアレンジに暴力的なビートが被さる、不思議なアレンジの曲。
あと『Speakerboxxx』収録の「GhettoMusick」。超カオスで超キャッチー。
2003年リリース。「Hey Ya!」のイメージで聴くと痛い目を見る、深みのある一枚。
ワーグナーの原曲はこちら。メンデルスゾーン《真夏の夜の夢》の「結婚行進曲」に並んで、有名なブライダル・クラシック。
歌劇《ローエングリン》では、「第3幕への前奏曲」も有名です。数多くの有名な序曲・前奏曲を発表しているワーグナーの代表曲の一つ。冒頭からド派手なワーグナー節が飛び出します。