プロコフィエフ

《ロメオとジュリエット》より「モンタギュー家とキュピレット家」/The Qemists「GOT ONE LIFE」

イギリスの音楽グループThe Qemists(ザ・ケミスツ)

2009年リリースの1stアルバム「JOIN THE Q」の中の1曲「GOT ONE LIFE」

プロコフィエフ《ロメオとジュリエット》の1曲「モンタギュー家とキュピレット家」をサンプリングしています。

リンク先で一部視聴できます。

 

プロディジーの再来とか、EDM×ロックとか、踊れるロックとか、いわゆる「ロック好き」に受けるキラーフレーズを持って紹介される事が多いThe Qemistsですが、サウンドの正体はドラムンベースです。

 

「Run You」MV。

テクノミクスチャーロックとでも言った作風ですが、0:30~1:00にかけての盛り上げ方は、完全にドラムンベースの手法です。ループしながらゆっくり手数を増やしていくバスドラムと徐々に音量を挙げていくシンセ。緊張感が最大限になった所で一旦ブレイクを挟み、一気にシンセと高速ドラムのループが始まります。ドラムンベースの様式美です。か、カッコいい…。

 

「Run You」収録の最新アルバム「Warrior Sound」はロックへの傾倒がみられますが、今回紹介するアルバム「JOIN THE Q」はまだドラムンベースのサウンドが強くみられます。徐々にロック化していく所も含めてプロディジー風といった所でしょうか。

 

「JOIN THE Q」はヴォーカルを大々的にフィーチャーした曲やヒップホップ風の曲もあれば、ほぼインストの曲もあります。しかし全体的にドラムンベースを基調にしながらバラエティに富んだ曲構成の名盤です。

一般的に、ドラムンベースはアルバムトータルで聴くと似たようなテンポで似たような曲調が続くので飽きたり疲れたりしがちです(ハマればトランス状態になりますが…)。

 

一方この「JOIN THE Q」はヴォーカルが全面に出てくる曲はドラムンベースの風味が抑えられており、アルバム1枚を通して程よい起伏があります。曲は概ねキャッチーな上、ギターやシンセベースも程よい主張でそこまでノイジーではないため、後期のプロディジーほど耳に厳しい音でもありません。

 

というかそもそもしっかりとした曲展開のある歌モノドラムンベース自体貴重なので、それだけでも価値のあるアルバムです。

 

 

「GOT ONE LIFE」はそんなアルバムの中でも異色の曲です。一番ドラムンベースからはかけ離れたサウンドで、テクノ系ヒップホップといった感じです。ロメオとジュリエットの有名なフレーズをバックにループしながらラップしていきます。

 

 

シンセドラムとシンセベースの上にシンセストリングスがクラシカルな旋律を乗せて、それをバックにラップをするというのは何というか、新感覚です。こんなの初めて。貴重なサンプリング曲です。

 

ロメオとジュリエット

プロコフィエフの原曲の視聴はこちら。

耳馴染みのあるフレーズだと思います。

 

そもそも《ロメオとジュリエット》というのはシェイクスピアの有名な戯曲です。元々イタリア語で「ロメオ」なのですが、英語で詠むと「ロミオ」なので最近は「ロミオ」と呼ばれることが多いのです。

 

敵対関係にある家柄同士の恋から起きる悲劇…というのは誰もが知っている有名な話です。

 

で、それを題材にしたオペラやバレエ、ミュージカル、映画など様々な作品が発表されています。今回紹介しているプロコフィエフの《ロメオとジュリエット》はバレエになります。

クラシックのロメオとジュリエットというと、他にもチャイコフスキーやベルリオーズ・グノー等も作曲しており、大変紛らわしいです。

 

 

で、プロコフィエフのバレエ《ロメオとジュリエット》では、前半で「騎士たちの踊り」というタイトルで演奏されるこの曲。オーケストラのコンサートでは「モンタギュー家とキュピレット家」というタイトルで組曲の1曲目に演奏される事が多いのです。ますます紛らわしい…。

 

プロコフィエフの《ロメオとジュリエット》は「モンタギュー家とキュピレット家」の他にも、重厚かつ流麗なオーケストラサウンドを楽しめる曲が満載です。

 

同じ曲をサンプリングした曲をこちらの記事で紹介しています。

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またクラシック×ドラムンベースというのは意外と多く、このサイトでももう2曲紹介しています。以下のリンク先で紹介しています。いずれも超名曲です

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syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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