【錆鉄の魔女】A.A.（茅原実里）「Ⅶ. THE RUST」/フィンランド民謡「イエヴァン・ポルカ」
心を持たない実験用ホムンクルスとして造られた存在。博士（メルティーユ）との交流の中で徐々に人の感情を理解していくが、それゆえに苦悩を抱える事になる…という設定のキャラクターです。
「イエヴァンポルカ」はフィンランドの伝統的な舞曲に歌詞を付けたものです。フィンランドのアーティストLoitumaによるカバーが特に有名です。
しかしこの「Ⅶ. THE RUST」に関して言えば、おそらく初音ミクの「Ievan Polkka」からの引用であると思われます。
「Ievan Polkka」はボーカロイド初音ミクが発売されて間もなく発表された楽曲で、初音ミク黎明期のカバーとしてとても有名な曲です。
初音ミクは、今となっては様々なメディア展開や二次創作などで愛されているキャラクターですが、元々はただの音声ソフトです。
大袈裟に言えば、「Ievan Polkka」の誕生は、単なる楽曲制作ソフトだった存在に、初めて命が宿った瞬間でもありました。
「Ⅶ. THE RUST」では、あえて機械的に歌うAメロから徐々に感情豊かな歌い方に変わっていきます。機械的に歌うAメロで「イエヴァンポルカ」の旋律が引用されており、初音ミクのような歌い方でもあります。
人工物として造られたA.A.に感情が宿って行く過程を、「イエヴァンポルカ」のカバーが生まれそこから広がって行った初音ミクワールドに擬えているのです。
「Ⅶ. THE RUST」の編曲もまた、無機質な打ち込み風の伴奏から始まり、徐々に有機的な生演奏の彩りが増えていく編曲となっています。Aメロの途中から加わるバスドラムは心臓の鼓動の音を模しており、A.A.に命（=人間らしさ）が宿る瞬間を表現しています。
また「Ⅶ. THE RUST」を歌唱している茅原実里も、アンドロイド×キャラソンの第一人者と言えます。
《涼宮ハルヒの憂鬱》に登場するアンドロイドの長門有希です。彼女のキャラクターソング「雪、無音、窓辺にて。」は、アンドロイドだった彼女に感情が芽生えていく過程を歌っています。
当時キャラソンとしては異例の大ヒットとなった著名な楽曲です。現在のキャラソン文化隆盛の礎の一角でもあります。
というわけで、この「Ⅶ. THE RUST」は、「イエヴァンポルカ」というよりは、初音ミク＆長門有希のオマージュであると思われます。
※ちなみに第５のクリファの魔女であるフォルティナのラメントに関しては、考察が上手くまとまっていないので後回しにしています。申し訳ありません。「イスラエル」「疫病」や「十字」のモチーフなどから原曲との共通項を探れそうな感じなのですが…。
というわけで、
次ページは、ケルベロスのラメントの考察です！
初めまして。イスカと申します。X.THE FLOWERの考察大変楽しく拝見しました。
初めまして。イスカと申します。X.THE FLOWERの分析、大変楽しく拝見しました。そこで1つ質問なのですが、この楽曲を「ニ短調」と判断したのはどの要素からであるのかご教示いただく事は可能でしょうか。音楽について学び始めたばかりで自己解決できなかった為に質問させていただいた次第です。お時間のよろしい時で構いませんので、よろしくお願い致します。
コメントありがとうございます！大変励みになります。
私は基本的に主音の音階をまず聴き取る事から始める事が多いです。
ペツォールトのメヌエットはト長調で、メロディが一区切りする所の音（主音）がソ（ト）の音になっています。
X.THE FLOWERの場合はその部分の音階がレ（ニ）なのでニ短調orニ長調と予測できます。あとは他の部分のメロディでどの音階を使用しているかで短調or長調を概ね判断しています。ニ長調の場合はファとドが＃、ニ短調の場合はシが♭、といった感じです。
だいぶ前に書いた記事なのであまり覚えていないのですが、X.THE FLOWERの場合はファ＃とド＃を多用していたので二長調ではなくニ短調と判断したのではないかと思います。
ただ私もいかんせん素人なので、間違っている可能性もあります。すみません。