【雪幻の魔女】ルナリンド(本渡楓)「Ⅸ. THE ICE」/チャイコフスキー《白鳥の湖》より「情景」
サビの伴奏のストリングス、2番サビのバックコーラス、そしてアウトロで「情景」のメロディが使用されています。
ルナリンドは、プレイヤー側のキャラクターである魔女ソルティーナの姉にあたります。
魔女狩りに来た教会の人間から妹を庇い、代わりに捕まります。妹の代わりに拷問を受ける苦しみの中でクリファの魔女になってしまい、世界を氷漬けにしようとします。
チャイコフスキーの原曲はこちら。
バレエ作品《白鳥の湖》は、【オデット姫が悪魔の呪いによって白鳥に変えられてしまい、夜にしか人間の姿に戻ることができない。真の愛のみがオデットの呪いを解くことができる】といった設定の話です。
《白鳥の湖》の序盤にあたるこの「情景」の場面は、【王子ジークフリートが夜に白鳥狩りに出かけたところ、白鳥が美しい女性(オデット姫)に変身するのを目撃する】という場面です。
上記のあらすじを見れば、ルナリンドの境遇と《白鳥の湖》との間に、様々な共通のモチーフを発見する事ができます。
・呪い、狩り、夜(闇)
・湖≒氷、悪魔≒魔女
・美しい女性が姿を変えられてしまう
・彼女を愛する者の力により、元の姿に戻る
オデット姫は元々人間であったにも関わらず、白鳥と間違えられ狩りの対象になってしまいます。最後は彼女を愛する王子の力により、呪いが解けて元の姿に戻ります。
これは【元々人間であったにも関わらず、妹の代わりに魔女を名乗り、狩りの対象になってしまう⇒彼女を愛する妹の力により、呪いが解けて元の姿に戻る】というルナリンドの境遇と共通しています。
つまり「クリファの魔女と化したルナリンド」を、「白鳥に変えられたオデット姫」に擬えているという事です。
《白鳥の湖》を引用した悲劇的な曲調の「Ⅸ. THE ICE」ですが、しかしこれはつまり、《白鳥の湖》と同様、ルナリンド自身も最後は助かりハッピーエンドを迎えるという事を暗示してもいます。
また「Ⅸ. THE ICE」の歌詞で月が登場しますが、月は夜のモチーフであると共に、湖を表現するためによく用いられるモチーフでもあります(夜の湖面にはキレイに月が映るため)。
また妹のソルティーナは【姉とは対照的で、太陽のように明るく元気な性格】という設定であるため、月は太陽と対比され、ルナリンドのモチーフとしても使用されています。
ソルティーナとルナリンドの名前も、それぞれローマ神話の太陽の女神ソールと、月の女神ルーナから名付けているものと思われます。
次ページは、ヴァルリーデのラメントの考察です!
初めまして。イスカと申します。X.THE FLOWERの考察大変楽しく拝見しました。
初めまして。イスカと申します。X.THE FLOWERの分析、大変楽しく拝見しました。そこで1つ質問なのですが、この楽曲を「ニ短調」と判断したのはどの要素からであるのかご教示いただく事は可能でしょうか。音楽について学び始めたばかりで自己解決できなかった為に質問させていただいた次第です。お時間のよろしい時で構いませんので、よろしくお願い致します。
コメントありがとうございます!大変励みになります。
私は基本的に主音の音階をまず聴き取る事から始める事が多いです。
ペツォールトのメヌエットはト長調で、メロディが一区切りする所の音(主音)がソ(ト)の音になっています。
X.THE FLOWERの場合はその部分の音階がレ(ニ)なのでニ短調orニ長調と予測できます。あとは他の部分のメロディでどの音階を使用しているかで短調or長調を概ね判断しています。ニ長調の場合はファとドが#、ニ短調の場合はシが♭、といった感じです。
だいぶ前に書いた記事なのであまり覚えていないのですが、X.THE FLOWERの場合はファ#とド#を多用していたので二長調ではなくニ短調と判断したのではないかと思います。
ただ私もいかんせん素人なので、間違っている可能性もあります。すみません。